ダンスとマナーって関係あるの?
実は、社交ダンス(International Ballroom Dance)は国際交流でのマナーの一つです。
歴史をさかのぼると諸説ありますが、中世ヨーロッパの宮廷舞踊から発展し、英国にて洗練され、発展してゆきました。国際交流でのコミュニケーションの一つとして、ダンスは音楽と共に人々の間で受け継がれてきた歴史的文化となっております。
これから、ますます国際化がさかんになる時代に突入いたしております。ダンスをたしなんでおくことは、人との交流において、欠かせないものの一つとなるでしょう。
もうすこし分かりやすい例をあげてみましょう。
Q1.お相手を正式におもてなしする際に、提供されるお食事はどの料理だと思いますか?
(答え)フランス料理
友人の結婚式に招待を受け、洋式でお料理が出る際にフランス料理を頂くことがあったかと存じますが、「主宰者側からの正式なおもてなし」という事となります。
様々の国の集まる晩餐会などでは、各国の独自の料理があるなかで、プロトコールとなっているのはフランス料理です。(ダンスパーティーでも、フランス料理をお出しいたします。)
Q2.どうして基準が必要なのでしょう?
(答え)それは、国や宗教に偏見や差別なく、さまざまな人々が公平に、平和に、心豊かに大切な時間を気持ちよく過ごすためのルールだからです。
自分の主張を一方的に通すのではなく、相手の立場で公平に気配りできることにより、
「自分は大切に扱われている」
と感じていただけるような、人として思いやりのある振る舞いのことなのです。



日本では、ダンスをマナーの一部とする感覚はあまりみられませんので、当然ダンスとマナーはどう関係あるの?と思う方もいらっしゃると思います。
よくダンス愛好家の方々より耳にするのは、
・ダンスタイムで、手招きされてフロアに出て行ったら、踊り終わったあと、置き去りにされた
・男性が、自分の知っているステップを次から次へとリードしてくるのですが、リードが曖昧だし、難しいステップばかりで、何だか疲れただけだった
・手で押されたり、くっつきすぎていて、踊り終わった後、腰や膝が痛くなってしまった
・ある女性が、自分を見たあと、他の女性達に耳打ちしたので、何か悪いことをしたかな?と心配になり、知り合いに伺ってみると、「あの人と踊ったら、踊りにくいから、誘われても断ったほうがいいわよ」と言われており、ショックでダンスを辞めようと思いました
・女性をお誘いして踊ったのですが、終始目を合わせてもらえず、挨拶も交わすことなく席へ戻られたため、だんだんお誘いするのが苦手になってきた
このような感想です。
欧州ではごく普通に小さい頃から、ダンスをコミュニケーションの手段として学び、「レディファースト」という言葉があるように、男性が女性をエスコートすることは、基本的な習慣となっています。それは、長い歴史を経て今も人から人へ受け継がれています。
日本では、男性が女性をエスコートすること、女性がエスコートされることに、不慣れな方が多いようです。
エスコートとは?
男性は女性を引っ張っていくことでしょうか?
女性は、ただついていけば良いのでしょうか?
エスコートを受ける準備や心構え、本当にできていますか?
お互い笑顔で、感謝を伝えていますか?
生徒さん達から、海外での体験談としてのお話も耳にいたします。
海外に行ったり外国の方と接する際、食事の後ダンスに誘われ、慌てて逃げ帰ってしまった、という体験談も伺います。
世界標準という位置づけでダンスを認識し、ご自身のスキルとして、ダンスやダンスに含まれるマナーや立ち居振舞いの感覚を身に付けておくことは、これからの時代には価値のあることだと、私達は考えています。
そして、実は、ダンス愛好家の皆様が何気なく踏んでいるダンスのステップの中に、マナーやエスコートする要素がたくさん含まれています!
このことを知っていると、うまくリードを伝えることができたり、女性としてリードを受ける側としての心得を学ぶことができるので、ダンスを踊るために、とてもプラスの要素になります。
踊ることとマナーは同じぐらいの比重で大切であり、踊り手は、マナー・エチケットを理解し、気品を身につけることで、より沢山の方々とダンスを楽しむことができる。
(インターナショナルボールルーム教師協会、日本ダンス教師協会教本より)
ダンス教師試験では、マナーとエチケットについての問題も出題されます。
(一例を挙げますと、こんなことが出題されます。)
・挨拶の仕方
・紹介の仕方
・立ち上がるか、座ったままか
・どういう場合に男性が先に行くか
・仲間同士の親しい付き合い
・ダンスの申込について
・パーティーの立ち居振る舞い
・お花の贈り物
・正装について
・テーブルマナーについて etc
これらは、ダンスというよりは、社交の場でのコミュニケーションに役立つ内容が含まれ、国際的な感覚を養うことができます。そして、それらの内容をダンス愛好家のみなさまに伝えてゆくように、とも説かれています。
私の体験ではイギリス留学中、食事をとる際英国のコーチャーとお会いすると、どのコーチャーもわざわざ席を立ち、コミュニケーションをとって下さいます。
最初はこちらが恐縮しすぎ、(お願いですから座ってくださいっ )と心の中であわてて叫んでいました(笑)
後からそれが女性に対する正式なマナーなんだと知り、世界中にいらっしゃる一生徒としての私に対してまでも、大切に扱って下さっている、という事に感激と尊敬を覚えています。
海外で少しきれいなお店でディナーを予約しようとすると、ドレスコードがあるお店を目にしますよね。
単にオシャレしないとダメなのではなく、お互いに限られた時間をより素敵に演出する、という、共通の楽しみ方の一つなのだと思います。
このように、今までもこれからも私達が様々な体験をしてきた事をみなさんにできるかぎりお伝えし、みなさまの大事なライフスタイルに、少しでもお役に立てればと願っております。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
